「かっこつけて難しいことをやろうとしなくていいんだ。
6割ぐらいの力でできる簡単なことでいいんだよ」
無理をしない、頑張らない、のイメージを、父は6割という言葉で示してくれた。
「ゆうこは、『頑張れば自分はもっとできるんだ』って思っているんだろう。
でもなあ、やってみたら分かるよ。頑張っても案外出来ないものなんだ」

空や雲や星や花や虫や鳥をぼんやりと眺めたり、
何にもしないでいつもいつも眠っている。
父はそんなわたしの姿を見て、
「ゆうこは怠け者なんだ。それもよし。無為安閑として時を送る。
それもまたよし」
と言って、かんらからと笑った。
【究極の全肯定、全受容】
「生きるもよし、死ぬもよし、全てよし」は、
父の究極の全肯定、全受容の言葉だったと思う。
ゲーテの『若きウェルテルの悩み』とかヘッセの『車輪の下』とかジッドの『狭き門』とか...。
本ばかり読んで、「死にたい」と泣いている娘だった。
父は「生きるもよし、死ぬもよし、全てよし。何でもよし」と言い放ち、豪快に笑った。
「悠々と生きるように」
いつもいつも父がわたしに望んだのは、それだけだった。
「人生はトントンで上出来なんだ」
もりやゆうこ HSP・HSC/ギフテッド専門カウンセラー